sekai

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【優勝は--XXX】

<僕>
生徒会長を務める秀才。
年齢に見合わない達観した発言をするため、周囲から怖がられることもしばし。
たまに直近の記憶が曖昧になり、不安を感じている。

<アイツ>
物言いは物騒だが、仲間想いのいい奴。
”僕”の記憶を知る者。

***
***

『👑優勝👑は--XXX!』
「……もう、どうでもいい」

ガウンッ

キーンコーンカーンコーン

6時限目の終わりを告げるチャイムが鳴り、生徒達は机に広げた教科書を閉じて先生に挨拶をする。
クラス担任は会議があるとかで、帰りのホームルームは早々に終わった。
クラスメイトの男友達が僕の名前を呼んだ。
話を聞くに、駅前に新しくできたラーメン屋へ行きたいらしい。
うーん。僕は今ダイエット中なんだよなぁ。早く家に帰ってゲームもしたいし。
なんて思いながら彼の話を聞いていると、廊下に見知った人影を見つける。
「ごめん! 用事があった! また今度っ」
鞄を乱暴に掴んで廊下へ向かう僕の後ろから、友人の残念そうな声が聞こえた。
慌てて出た廊下に、しかし“アイツ”は居なかった。
確かに目立たない風貌ではあるけれど、それでもこの学年では背は高いと思うから見失うはずないのに。
「……?」
“アイツ”って、だれだっけ。

最近見た変な夢。
内容は曖昧にしか覚えていないけれど、妙にリアルだった。
ak-48、spas-13……ゲームの中でしか扱った事がないはずなのに、その重さが手に残っている。
「FPSのやりすぎかな?」
知らない無人島でのデスゲームだなんて。
夢でも、ちょっと怖いな。
「っ……!?」
偏頭痛のような鈍い痛みが走り、壁に背を預ける。
額に手を当てると、少し熱い気がした。
風邪?
微熱がでる事はたまにある。
安静にしていれば、いつも翌日には治っているので、今夜はゲームをせずに風邪薬を飲んだら寝てしまおう。
そう思い、階段を降りようとすると上の階から視線を感じた。

この先は屋上で、鍵は午前9時から午後18時まで開けられていて、生徒にも開放されている。
ただ、もうすぐ鍵がかけられる放課後に屋上へ行く生徒は殆どいない。

もしかして……。

僕は先ほど見た人影を思い出す。
顔も名前もよく思い出せない、アイツ。
けれど、ずっと隣にいたような。

家族でもない。

親友とも違う。

そう、僕らの関係を例えるなら、それは……。
「やってんねぇ! 相棒。遅刻ですよ?」
こちらを真っ直ぐ見る真紅の眼は、夕焼けの朱色のそれではない。
「今回はね、そういう事にしておこうか。っていうか言ってよ」
「いや無理でしょ。運営的なあーだこーだがさ」
「その運営様の居場所は掴めたの?」
「まぁーねぇー」
「すごいじゃん、お前」
「は?」
「馬鹿にしてないから怒んなって」
手に残る重さと、日々に感じる違和感。
思い出した全てを僕はすんなりと受け入れる事ができた。
だって、これが初めてではないのだから。
「では先ず、こちらへ帰ってきたばかりの君に現状を伝えます。心して聞きなさい」
「はいはい、先生」
「教官です。そして返事は1回!」
「あぁ、教官なんだ?」

この先にどんな結末が待っていようとも、アイツは僕を見つけるし、僕もアイツを見つける。

だってそうだろう?

相棒――

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